第4章 壁に耳あり/沖田
『お仕事ご苦労さま』
想い人を前にした私は笑顔いっぱいに茶を差し出した。
最近仕事が忙しいとかで中々会えなかったから、こうやって顔が見れただけでも凄く嬉しいのだ。
「いつ飲んでも旨ェな」
彼は私の淹れた茶が好きらしい。
店を訪れた時も、
プライベートで会った時も、
茶を淹れてあげると必ず褒めてくれる。
『へへ……ありがとう』
世間ではドSだとか鬼畜だとか。
色んな噂を立てられてる総悟だけど、私はそんな風に感じた事は“あまり”無い。
「ちょっとこっち来い」
『え、何で?』
「いいから」
強引な総悟に促されて隣に腰を下ろすと、いきなり身体を抱き締められた。