第2章 芍薬の蜜/銀時
『何、で……気付いて…?』
「見てりゃ分かるよ」
土方だろ?
言いながら笑う坂田は何だか悲しげな顔をしていた。
燃えるような紅い瞳。
酒のせいか少し潤んでいる。
「なァ……俺にしとけよ」
『ん……っ‼︎』
唇が重なるのと同時にソファへと身体が吸い込まれた。
入り込んでくる熱い舌を拒もうとしたが、続けざまに囁かれる告白にその侵入を許してしまう。
「好きだ、……マジで好き…俺のモンになってよ」
『ん、ぅ……はあっ』
薄っぺらいカーテンの向こうでは未だに真選組の宴が続いている。
微かに聞こえる土方さんの声。
私はギュッと瞳を閉じて、
その愛しい姿を思い起こす。
どうあっても叶わぬ恋。
今ここで坂田の物になってしまえば少しは心が救われるだろうか。