第2章 芍薬の蜜/銀時
「きゃー土方さんかっこいいー!」
「ぎゃははは!飲め飲めー!」
突如として聞こえたのは愛しい人の名前と楽しげな宴の声。
大方、酔った松平公が絡み酒でもしているのだろう。
店内には一気コールが響いているし、土方さんが標的にされているに違いない。
大丈夫かな。
あの人お酒弱いのに。
「おい……」
坂田の声が耳に滑り込んできてハッと意識をVIP席に戻す。
『な、何?』
今にも押し倒されそうな態勢で何もクソもあったもんじゃないのだが、他に言葉も見つからなかった訳で。
やたら真剣な顔でこちらを見つめる坂田は少し考えるような仕草をした後、ポツリと呟いた。
「俺じゃ駄目?」
息が出来なかった。
突然の告白に、というよりも坂田が私の気持ちに気付いていると云うことに驚きが隠せなかったのだ。