第1章 SHE IS MY.../ジャン
『キルシュタイン隊長……‼︎』
「はっ……よせよ、礼なんて」
『いえ、あの、何て言うか』
一体どうしたと云うのだろうか。
別に見返りを期待して助けた訳じゃないが、自分を見上げるの目が明らかに変だ。
感謝でも嫌悪でもない。
敢えて言葉で言い表すとしたら、
“哀れみ”
そんな表情で俺を見つめている。
「どうした?」
ジャンは小首を傾げて問うた。
するとがおずおずと可愛らしい唇を開いて告げる。
『その……血が、出てます…めっちゃ、いっぱい』
「は……?」
はああああ⁉︎
言われてみれば痛む右腕に視線を下ろしたジャンは、自身の大絶叫と共に意識が遠退くのを感じるのであった。