第1章 SHE IS MY.../ジャン
彼の目に映ったのは黒い影。
それは幸い巨人ではなかったものの、部下である男子兵とに襲いかかっているように見えた。
ジャンは風を切って空中を駆ける。
流れる景色の中で焦点が定まった時。
部下を襲う正体が野犬であることに気付いたジャンは刃を装着する事なく飛びかかった。
そして。
ガッ!ゴキッ!
「キャイィィン……ッ‼︎」
彼はワイヤーによる遠心力を利用して素手で野犬を撃退したのである。
「お前ら!怪我はないか⁉︎」
『たっ……隊長!』
見事部下の窮地を救った俺。
巨人以外は削がない優しい俺。
そんなイケてる俺をが羨望の声音で呼んでいる。
ジャンの頭は妄想でいっぱいだ。
しかし、この悲しき妄想は直後に打ち砕かれることとなった。