第8章 痛いのがお好き/兵長,ジャン
「痛……って、」
兵長に殴られた勢いで吹っ飛んだ俺は、口の中に広がった血液を唾液と共に吐き出した。
これでもかと反抗的な目で彼を睨み返してみたが、そんな物は無駄な抵抗でしかなくて。
「お前には躾ではなく罰が必要だな」
何処から取り出したのか、頑丈そうなロープを手に俺を見下ろす兵長はまるで氷のような眼をしていた。
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「……で、これは一体何なんですか」
背もたれ付きの椅子に縛り付けられた状態で精一杯の強がりを見せる。
あの後、更にボディに三発、挙げ句の果てには回し蹴りまで決められた俺は心身共にボロボロなのだが……ここで負ける訳にもいかない。
たとえこの身が滅びようとも……否、兵長の手によって滅ぼされようともさんへの気持ちは変わらない。
その位、俺はさんが好きだ。