第13章 青学☆不二 周助 編
相変わらず、学校で姿を見かけることはあっても…話を出来る機会はないままだ。
メールのやり取りはあるものだから、尚更、恋しい気持ちが膨らんでいく。
そう言えば、無言電話があると言っていたっけ?
僕は気になって、彼女にその事を訊ねた。
返信は直ぐにきた。そして……番号を変えたにも関わらず、無言電話がかかってくるらしい。
嫌がらせか、彼女のことを想ってのことか……原因を突き止めることは出来ないだろうか?
そして僕は、提案したんだ。
部活のない平日の放課後。彼女とサボテンを見せ合う約束をした。
待ち合わせは……本当は決めていた。正門でって…。
でも、敢えて彼女の教室近くで待っていたんだ。
やがて、教室から人が出てきた。
その中には、部活の後輩らもいて一言二言の会話を交わす。
あ…彼女だ。
そして……彼女に視線を向けている1人の男子。
どうやら、彼女のことを……。
しかし、1人の女子が男に声をかけていた。
その女子は確か彼女の友人の1人。
巻村『不二さん!』
彼女が駆け寄って来た。何も気付いていない彼女は、明るい表情そのものだ。
不二『お疲れさま。早く終わったから迎えに来たんだ。』
巻村『有難うございます。』
僕たちは肩を並べて歩き出した。
男子の視線を背中に感じながら…。
近くの公園に行くと、僕たちはサボテンを見せ合った。
不二『うん。元気そうだね。』
巻村『不二さんに色々教えて貰ったからです。最近、凄く可愛くて…。』
不二『サボテンも喜んでいると思うよ。』
巻村『だったら嬉しいです。』
その時、僕は気付いた。
フェンスの向こう側からの視線を…。
僕は、敢えて無言電話の話を切り出したんだ。