第13章 青学☆不二 周助 編
植物園の中は、団体客でごった返していた。
巻村『凄い人ですね…。』
不二『うん。ねぇ、手を繋いでいいかな?はぐれると心配だし。』
巻村『え……あ、そ、そうですね。』
僕は、彼女の小さな手を握り締めた。
僕の心臓の慌ただしい音が聞こえてしまわないか気になったけど、それよりも嬉しい気持ちでいっぱいだった。
そうそう、彼女の母親は有名な料理研究家の巻村 咲乃さん。
その影響からか、料理の腕前はかなりのものらしい。本人は、謙遜していたけど…。
来月には、バレンタインがある。
特別な人はいないようだけど……。
そんなとき、小さな彼女の声。
彼女が見ている視線の先は幾種のサボテン。
巻村『不二さん。サボテンですよ。見ましょう?』
不二『うん。』
小さなものから大きなもの。形も色んな種類があってどれも興味深い。
巻村『こんなに沢山の種類があるんですね。不二さんは、どんな種類を育てているんですか?』
僕は、沢山の中から彼女に説明した。
巻村『わぁっ……サボテンの花…可愛らしい。』
丸いサボテンには、黄色い小さな花が咲いていた。
サボテンを堪能した後で、バラのむせかえる匂いがするコーナーへと出た。
どれを見ても、素晴らしい花ばかりだ。
巻村『あ……あれって…。』
不二『あぁ、そう言えば…売店があるって言ってたっけ。覗いてみる?』
巻村『はい!』
そんなに広いエリアではなかったものの、ハーブやサボテン、花、苗などが並べられていた。
彼女が手にしていたのは……。
花の香料とハーブ。
楽しそうに選んでいる。僕も彼女と共に、サボテンを購入した。
さっき、彼女がサボテンの花を見て可愛らしいと言っていた品種を2つ。