第13章 青学☆不二 周助 編
不二『じゃぁ…君だけなら、貰うことが出来るのかな?』
巻村『えっ…私だけ?』
不二『ごめん…迷惑だったね。それより、ここで待ち合わせ?』
巻村『いえ……特に予定は無いのですが、ブラブラと…。不二さんは、デートですか?』
不二『そうだな…。君が付き合ってくれるなら歓迎なんだけど。』
巻村『えっ?』
僕は、植物園のチケットを見せた。
巻村『あ……可愛い。サボテンですか?』
チケットには、サボテンの写真が載っている。
不二『そうだよ。僕は、サボテンを育てているんだ。だから、色んな種類の物を見てみたくて…。』
巻村『イイナァ…。』
本当に、小さく呟くような声だった。
この招待チケットは、もう一枚ある。姉さんが誰かを誘って…って言ってたけど、テニス部のメンバーで植物園に興味がある人は居なかった。
不二『じゃぁ、一緒に行こうよ。』
誘ってみたけど、内心はバクバクしている僕の心臓。
不二『実は…。』
周りに声をかけたけど、行く人がいなかったことを話し…さらに、チケットがもう一枚あることも告げた。
こんな緊張感、試合でも中々ない。
彼女は、少し考えて……
【行きたいです】
そう、言ってくれたんだ。
急遽、デートとなった休日。
あんなに遠巻きで見ていた彼女が、今は肩が触れるくらいのキョリにいる。
彼女の笑顔を見るたび、声を聞くたび……僕の心は慌ただしく跳ねるんだ。
植物園に到着するまでの間、やんわりと彼女のことを聞いたんだ。
今、どんなことに興味があって……どんなものが好きかとか……。
僕の頭の中に、彼女の情報が増えていく。
その一つ一つが嬉しくて、そして……とても大切になったんだ。
君のことを知っていくたび、僕は君に夢中になって行く…。