第12章 四天宝寺☆千歳 千里 編
俺は彼女と会いたいと思っていたことに…。
放課後までの時間が待ち遠しかった。
こんな思いをしたのは初めて。
やっとの思いで、放課後…。
待ち合わせは校門前。
先に彼女が居て……その隣りには、見知らぬ男がいた。
端で見たら、恋人同士のように見える。
俺は、足を止めたままその光景を見ていた。
声をかけたら邪魔に……。
でも、彼女は俺に気付くと駆け寄ってきた。
相変わらずそそっかしいようで……後5歩で転ぶであろう時に、俺は抱き留めていた。
千歳『そんなに走ったら転んでしまうとよ。』
真弓『す…すみません。前にも言われたのに、進歩ないですね…。』
千歳『足……?』
膝には、絆創膏が貼られていた。
真弓『あ、これは……転んじゃって。』
恥ずかしそうに、紅く頬を染めていた。
千歳『気をつけるたい。』
真弓『千歳さんがいつも傍に居てくれたら、怪我しないのかなぁ…。』
それは、どういう意味?
真弓『って、私みたいな手のかかるのは嫌ですよね。』
千歳『……じゃない。』
真弓『えっ?』
俺は、背後でずっと俺を見ている彼女の知り合いに目を向けてから…ハッキリと言葉にした。
千歳『真弓さんに傍に居て欲しいと思っているばい。』
真弓『本当…に?』
千歳『本当とよ。俺はフラフラしてるけど……真弓さんの所なら帰りたいと思うたい。』
彼女の顔が、急にクシャリと泣き顔になった。
え……嫌、だった?
真弓『お金返したら、もう接点無くなって……でも、あの日…凄く楽しくて……また会いたいなって……何回、メールしてみようかと……。』
千歳『俺も同じばい。迷惑がられるかと思って出来なかったと。』
真弓『嬉しい…。』