第11章 四天宝寺☆財前 光 編
佐々木『財前くん。』
財前『ん?』
佐々木『…ううん。何でもない。じゃぁ、また明日。』
小さく手を振って、帰ろうとする佐々木。
でも…俺は無意識に佐々木の腕を掴んで引き留めていた。
佐々木『財前…くん?』
財前『俺と付き合ってくれ。この一週間メッチヤ考えた。今…目の前で去っていくお前見たら……このまま見送ったら後悔する。だから……。』
俺は、佐々木の目を見てハッキリと想いを告げた。
財前『佐々木が俺以外の男と仲良うしてるとこなんか見とうない。俺は……俺は、お前が好きや。』
佐々木は、目を見開いて驚いていた。せやろな……いつも、無機質なくらいに淡白な性格な俺やし…。
けど、気持ちはもう止まらへん。
財前『……ええ返事くれるまで、この手を離さへん。』
佐々木『なら……いい返事したら離しちゃうの?』
財前『やっぱり、どっちも無理!』
佐々木『プッ…何それ。じゃぁ、ずっと…離さないでね?約束だよ?』
財前『それって…ええ返事ってこと?』
佐々木『財前くんの意外な一面を見せて貰ったからね~。うん……ありがとう。好きになってくれて。』
この後、佐々木は本心を語ってくれた。
ずっと…俺を好きでいてくれたことを。
ギャップ萌え?1年の時に、古典を教えて貰った時の俺の必死さ?
どうやら、それが良かったらしい…。
ハァッ……何か、一生分の緊張したような気がする。
佐々木『ねぇ、財前くん。部活が終わったら一緒に帰れない?あ、呼び出し!行かなきゃ。えっと……後で、伝言頼んでおくから。』
未来の白石部長の彼女で、俺らのクラスメイトにどうやら伝言板となってもらうようだ。
そう言えば……部長、何か最近…変?
緊張が解けたら、部長の立場のことを何となく理解した。
そう言えば……あのクラスメイト、身内に厄介なヤツがいるって聞いたことがあるような?