第11章 四天宝寺☆財前 光 編
【嘘から出たまこと】
そういう格言があったっけ。
俺と栞(=彼女)の接点は、この言葉の通りだった。
ま、結果的には纏まったんだからいいか。
2年生に進級して1ヶ月ほどが過ぎた頃。
朝練が終わり、教室へと向かった俺。
?『財前くん、おはよ~!』
財前『オハヨ…朝から元気だな。』
こいつは、隣りの席の佐々木 栞。そう…近い未来の俺の彼女。
1年からの腐れ縁で、唯一、普通に話す女子。
まぁ……一般論から言えば、綺麗な類い。あくまで、一般論だけど。
元々は、関東出身で関西弁は使わないが、明るくて誰とでも馴染んでしまうのが佐々木の才能だろう。
そんな佐々木が、昼休みに何かを見て難しい顔をしていた。
財前『何やってんの?』
佐々木『えっ?あ……よ、予習?』
何で疑問符ついてんねん。
本を覗き込むと、五時間目の英語。一生懸命に和訳中のようだ。
財前『そういや、佐々木って英語が苦手だったっけ。』
日にちを確認して、意味を理解した。
英語の授業で、日にちは15日=15番=佐々木。
財前『どこや?』
佐々木『ここ…。分かんない…。』
こんなことくらいで、この世の終わりのような顔をしている。
大袈裟な奴……と、思ったが……過去に俺の苦手な古典を佐々木に教えて貰ったことを思い出して納得した。
財前『あぁ、ここは……。』
訳すと、物凄く感謝された。
こんな程度で行き詰まってんのに、テストの成績は悪くない。何故だ?
それにしても、相変わらずいい匂いがする。
って…俺は何を考えてんだ。