第10章 四天宝寺☆白石 蔵ノ介 編
彼女は、キョトンとした顔をして……少し間があったが、好きだと言った。
今の間は何や?
けど、続きの言葉を口にする前に……高橋が帰って来たようで言葉を続けることは出来なかった。
彼女を見送った後、高橋の足がフト止まり…振り返った。
高橋『ただの興味本意なら、これ以上瑠花には関わらないでくれ。白石……仰山、ファンとかおるやろ。』
白石『どういう意味や。』
高橋『瑠花は田舎育ちで素直なええ子なんや。辛い思いするん分かってて黙ってるわけにはいかんやろ。』
白石『辛いって……。』
高橋『瑠花の周りは、白石のファンが仰山おるんや。意味……分かるやろ。ほなな。』
冷たくいい放ち、家の中に消えていった高橋の姿。
俺が関わったら………辛い思いさせるんか?
嫌……高橋の言う通りや。
たった数時間やったけど…俺、また話したいって思ってるみたいなんや。
あんな子……悲しませたらいかん。分かってる。
でも………逆に、話したいって欲求が積み重なっていく。
でも、接点なんかあらへん。
数日後の放課後……
久しぶりに如月さんが、テニス部を観に来ていた。
って…付き添いやけど。
ん?何で、財前が如月さんと話をしてんのや?
如月さん……財前とは、あまり面識無いような口振りだったのに。
それに…財前もいつもは口数少ないのに話が弾んでへんか?
何を話してんねん……。
財前は話が終わると、独り言のように呟いた。
財前『気っしょいスわ。誰かさん、怖じ気付いてるみたいやし。俺だったら、何を言われても自分のやりたいようにやるけど。』
ちょっと待ち……それ、俺に対して言ってんのか?
それに、自分はやりたいように…って。
まさか…財前は如月さんのこと……。