第10章 四天宝寺☆白石 蔵ノ介 編
?『あ、あの…お世話になりました。』
そこに現れたのは、女の子と一緒に居た千歳と同じクラスの…高橋やったか。
高橋『白石?』
俺は事情を説明した。
高橋『ほんま、ビックリしたわ。流血騒ぎやったって。』
?『心配かけてごめんね。悠斗くん。』
高橋『俺はええよ。ほんま、大丈夫なんか?瑠花を怪我させたことがバレたら…。』
目の前でのやり取りの女の子の言葉…やっぱり、穏やかなものや。
白石『なぁ…自分、大阪出身やないやろ。』
?『あ、はい。滋賀出身です。京都よりなので、そちらの言葉遣いになりますけど。…おかしいですか?』
白石『ええと思う。』
?『そうですか。良かった…。えっと…白石先輩でいいんですよね。今日はありがとうございました。』
立ち振舞いも柔らかい。
高橋『世話かけたな、白石。』
白石『ええよ。で、二人は付き合ってるんか?』
二人は顔を見合わせて笑いだした。
高橋『ちゃう。従兄弟なんや。まぁ、中学から事情があってウチで預かってるんや。』
同居ってことか…。
俺は二人を見送った。
あの女の子、俺のこと知らんみたいやった。
ほんま…興味ないんやな。
それから暫く、女の子の姿を部活で見かけることはなかった。
でも、意外な場所で再会したんやけど……。
テニスの備品を買い出しに来ていた時に、俺は逆ナンされてたんや。
相手の都合なんかお構い無しに、俺の心ん中にズカズカ入ってくる行為に嫌悪を覚えていた。
ん?向こうから来るんは………。
相手も俺に気付いて、小さく会釈してくれた。
白石『あ、どうしたんや?自分が来るん待ちぼうけやったわ。』
へ?俺…なに言うて?
?『えっ……。』
ほら、相手やってビックリした顔してるわ。