第9章 聖ルドルフ☆観月 はじめ 編
気のせいでしょうか?
体が熱く感じる気がします。
どうしたということでしょうか?
日頃から体調管理には余念がない僕ですが、過信はいけません。
今日は早目に休むことにしましょう。
それから数日後。
僕は…そう、普段は変わらない僕でした。
ですが、どういうことか……彼女を見掛けると心拍数が早くなるようになりました。
あの日以来、なるべく声をかけたりしているのですが……何故か、僕は僕らしくない気がしてなりません。
どこか悪いのはでしょうか?
頭を働かせてみたものの、いつも最後は彼女のあの【ハニカミ】を思い出すのです。
そして……少しずつですが、周りと話す機会が増えてきた彼女を見て……やるせない気持ちになるのです。
この日は週末…。
中庭で薔薇を眺める為に朝早くに部屋を出ました。
少し朝靄が出ていました。
観月『ハァッ…やはり、この時間の空気は気持ちがいいですね。ん?』
淡い桃色の薔薇の花壇に人がいました。
その薔薇を見て、淡い笑みを浮かべていました。
その控えめな笑顔に、僕は魅入ってしまいました。
そして…また、心が跳ねました。
ロロナ『おはようございます。お早いのですね。』
観月『おはようございます。貴女も早起きなのですね。それはそうと、薔薇が好きなのですか?』
ロロナ『…亡くなった母が、好きでした。その影響で…。』
観月『そうですか。お母様を…。兄弟はいないのですか?』
ロロナ『…っ!!』
観月『どうかしましたか?』
ロロナ『……義理の兄弟が…出来ました。……おかげで、私の居場所は…。』
寂しげに笑う彼女を僕は抱き締めていました。
観月『帰る場所が無いと言うなら、ここに……日本に居て下さい。』
ロロナ『えっ…日本、に?』
観月『はい。』