第8章 六角☆天根 ヒカル 編
ただ、一人になりたくて部活帰りに砂浜をブラブラとしていた。
いつもは賑やかな浜辺も、海が夕陽に染まり……侘しい気持ちでいっぱいだった。
手を伸ばせば届く距離…でも、現実は指先が触れることすら叶わないでいる。
?『天根くん?』
振り返ると、草野がいた。
夢?
天根『…草野?』
どことなく元気が無いように見える。
草野『最近、天根くん元気ないね。何かあった?』
天根『草野こそ、元気が無いように見えるが何かあったのか?』
草野『…天根くんが元気ないからだよ。最近、笑わせてくれないし。』
天根『今は、ちょっと…アレだ。スランプなんだ。』
草野『スランプ?何かあったから?』
天根『別に何もない。それより、草野はこんな場所でどうした?』
草野『さっき…おつかいから帰って来る時に……偶然、会ったんだ。』
天根『誰に?』
草野『サエさん。後ろ姿だったんだけど間違いないと思う。』
ずっと、見ていたから?
天根『声をかけなかったのか?』
草野『うん。邪魔しちゃいけないかなって……。それに……今は、天根くんと話したいなぁって思ったの。』
どうやら、サエさんは女の子と一緒に居たらしい。
後で分かったことだが、サエさんのお姉さんだった。
草野は誤解したようだ。
でも、それでなくてもサエさんより、俺と話したいと……。
草野『天根くん。私のこと嫌い?もし、何かしたなら謝るよ。』
草野は何も悪くない。
悪いのは……俺。