第8章 六角☆天根 ヒカル 編
佐伯『楽しそうにしているじゃないか、ダビデ!』
天根『サエさん…。』
草野の顔は…頬を赤く染めていた。
天根『どうかしたんですか?』
佐伯『あぁ、今日の部活は休みになった。』
天根『そうっすか。』
俺のつっけんどんな態度に、サエさんは意味を理解したのか直ぐに居なくなった。
サエさんに嫉妬……。
でも、どうにもならなかった。
草野はサエさんの後ろ姿を見送っていた。
思い知らされた……草野はサエさんを。
俺が幾ら頑張っても、どうにかなるものではない。
だったら……俺は…草野の為に協力を…。
部活が休みだと言うことは、きっとみんなで潮干狩りをするに違いない。
俺は、草野を誘ってみた。
最初は遠慮をしていたが、半ば強引に約束を取り付けた。
俺の片想いに終止符をつける為に……サエさんは、草野と接していたらもしかするかもしれない。
胸が痛いが、草野が笑ってくれるなら…。
好きな人の為に……。
放課後、草野を連れていつもの砂浜へと行った。
直ぐにみんなと打ち解けて、みんなで和気藹々と潮干狩りを満喫した。
草野は、サエさんとも話をしては楽しそうに笑っていた。
これでいい…。いつか、草野の気持ちが報われる時が来るかもしれない。
それから何度か一緒に潮干狩りに出かけ、草野はテニス部のメンバーらと仲良くなっていった。
勿論、サエさんとも……。
胸が痛いが、仕方無い…。
最近、俺は…草野と話さなく、嫌、話せなくなってきた。
今まで、どんな話をしていたのだろう?
どんなことをして、笑わせていたんだろう?
今の俺には、何も思い付かない。