第8章 六角☆天根 ヒカル 編
天根『本当に、ただのスランプなだけだ。』
草野『そっか。じゃぁ、今度は私が笑わせてあげるよ。』
天根『草野が?俺は、ちょっとやそっとでは笑わないが。』
草野『ジジイが喰ってもババロア!』
天根『プッ…いきなりパクりかっ!?』
草野『わ、私もスランプなの!』
天根『えっ…クッ、アハハ!』
頬を膨らませて拗ねる草野に俺は笑っていた。
やっぱり……俺、好きなんだな。草野のこと…。
天根『ありがとな、笑わせてくれて。』
草野『何か腑に落ちない…。』
天根『まぁ、そう拗ねるな。パワーアップして今度は俺が笑わせてやるから待ってろ。』
草野『期待しないで待ってるよ。』
ま、いいか…草野が誰を好きでも、俺が草野を好きなことは事実なんだし。
草野『って、人の頭を撫でないでよ!背が縮んだらどうするのよ。』
天根『ん?そうだな…もし、縮んだら草野が欲しいもの一つ買ってやる。』
草野『欲しいものがお金で買えるものじゃなかったら?』
天根『出来るだけ努力する。』
欲しいもの……サエさんとかか?
そんなに好きなら告白すれば……サエさんと付き合っているのを想像して軽くへこむ。
草野『どうかした?』
天根『何でもない。それより、買い物はいいのか?』
草野『あっ!?忘れてた!帰らなくちゃ。』
天根『送ってく。』
草野『えっ…近いから大丈夫だよ?』
天根『そこに置いてあるのが買い出しのモノだろ。重そうだから持ってやるよ。』
草野『い、いいの?』
遠慮がちながらも嬉しそうな顔をしている。
素直だな…。
草野の家まで、ほんの短い時間……でも、こうして傍にいるだけで俺は幸せだった。
例え、草野が俺を見てなくても…。