第1章 立海☆仁王 雅治 編
一体、誰に嘘を吹き込まれたんじゃ?気になるぜよ……。
まぁ、想像はつくが……。
仁王『榊。』
榊『はい?』
仁王『送るぜよ。』
一瞬、驚いた顔をしたが素直に肯定の返事が返された。
しかし、手荷物が多くないか?
仁王『その荷物は何なんじゃ?』
榊『あ、これですか?色んな生地なんです。パパの職場まで貰いに行ってたんですよ。』
仁王『生地?何に使うんじゃ?』
榊は、自分の頭を指差した。
纏めた髪を束ねているのは、布製のバレッタ。言われてみれば、あまり見かけない気がするが……。
仁王『自作なのか?』
榊『はい。どうですか?』
仁王『似合っちょるよ。』
榊は嬉しそうに笑った。
仁王『だが、夜更かしは程々にしんしゃい。目の下にクマなんかあったら、折角の可愛い顔が勿体無いからのう。』
榊『な、な、何言ってっ!!』
こうも素直に挙動不審になられると、余計にイジメたくなるぜよ。
ま、今はやらんが。
仁王『クックッ……可愛いのう。』
頭を撫でると、赤くなったまま頬を膨らませている。
仁王『そんな顔をして怒っても、全然怖くないぜよ。』
俺の言葉に、プイッとそっぽを向いてしまった。
怒らせたか…………。
フウッ……遣り過ぎたか?
仁王『そう怒りなさんな。転た寝の場所、明日は独り占めしていいから許しんしゃい。』
榊『プッ……怒らせてその台詞なんて……。』
一先ず、笑ってくれたようで一安心ぜよ。
仁王『お前さんは、怒った顔より笑った顔の方がいい。』
榊『もうっ……それ以上からかうと、また怒りますよ?』
仁王『ハハハ。わかったぜよ。(からかってないんじゃがのう。)』