第5章 氷帝☆跡部 景吾 編
跡部『何もねぇ。』
向日『ん?みんな集まって、何かあったのか?』
日吉『何かあるんですか?』
忍足『跡部にええことが起こってるみたいなんやけど、教えてくれへんねん。みんなも冷たいと思わへんか?』
全員『跡部にいいこと??』
全く……こいつらは。
跡部『だから、何もねぇって言ってんだろ。いい加減にしろよ。』
全員『…………。』
今度は何なんだ?みんな黙り込んで……。
忍足『な?みんな、これで分かったやろ?』
忍足の問い掛けに、みんな頷いている。
跡部『何が分かったんだ。』
忍足『嫌……もう、ええんや。ほな、俺は行くわ。』
みんな忍足に続いて、部室を出ていった。
跡部『?何なんだ?』
聞きたがっていたのに、アッサリと引き下がった。
俺の何が違うって言うんだ?
翌週……生徒会の仕事を大急ぎで片付けば、慌ただしく音楽室へと向かった。
音楽室には、二人の女がいた。
俺が声をかけると、つんざくような声が耳を汚した。
跡部『うるせぇぞ!!』
?『す、すみませんでした。』
跡部『まぁいい。ピアノを弾いていたのは、お前らのどちらかか?』
?『ピアノ?』
跡部『つい、さっきまで弾いていただろ。』
?『みたいですけど……私たちは、見ていません。』
跡部『チッ……そうか。』
音楽室から出ると、目の前に一人の男がいた。
?『あれ?また、置いてきぼりか……。』
跡部『置いてきぼり?』
?『あ、別に……失礼します。』
呼び止めようとしたが、誰かを追いかけていったようで姿はなかった。
みんな、足が早い奴等ばかりだな……。