第5章 氷帝☆跡部 景吾 編
好みなら……
【勝ち気な人】
ある意味、当てはまらなくもない。
だが…少しいつもと違うのは、あいつは飄々としていてマイペースなこと。
この日、音楽室からピアノのメロディーが聴こえてきた。
榊監督を彷彿させる腕前だが、少し違う。
それは、決まった曜日に聴こえてきた。
俺ですら、聞き入るほどの腕前。
興味を持った俺は、音楽室へと足を運んだ。
だが…そこには誰もいなかった。
無機質なほど、静かな空間。先程まで、あんなメロディーが流れていたとは思えないほど……。
その足で、部活へと向かう。
しかし、誰が弾いているんだ?
榊監督に聞けば分かるよな?
その日、監督は現れないまま部活が終わった。
騒がしいファンらの中、部室へと戻る。
仕方無い……来週までお預けか。
あんな腕前なら、名前くらい知っていても可笑しくない筈なんだがな……。