第4章 氷帝☆芥川 慈郎 編
眼鏡は少し離れた場所に飛ばされていたようで、直ぐに見付かった。
直ぐに眼鏡をかける彼女。
印象が変わり、真面目そうな雰囲気に見えた。
木藤『芥川先輩、本当にすみませんでした。』
芥川『ねぇ、俺は何もしていない?』
木藤『はい。失礼します。』
さっきまでの弱い雰囲気は、もうなかった。
一体、どうしたんだろう?
何をあんなにも……耐えているんだろう?
本当に俺は何もしていないのかな?
疑問でいっぱいだ。
でも、それから暫く…俺は忘れかけていたんだ。あの出来事を……。
ある日の部活の終わり。
少し騒がしくしている人だかりがあったんだ。
五、六人の男子の中に、あの女の子がいた。
何やら、言葉を浴びせられているようで……でも、女の子は何も反論してはいないみたいだった。
近付くにつれて、話の内容が聞こえてきた。
そして、俺もテニス部のメンバーらも唖然としたんだ。
女の子に対してあまりにものキツい言葉に俺は我慢出来なかった。
芥川『ねぇ、何やってんの?』
男子らは2年生のようで、俺やメンバーらに気付き気まずそうな表情をしていた。
芥川『何をやっているのかって聞いているんだけど。』
いつもの俺なら言わない強い口調に、みんな驚いているようだった。
?『こいつ……クラス委員で、提出物が遅れている俺らに催促しに来て……あんまり偉そうに言ってくるから頭にきて……。』
?『こいつ……いっつも上から目線で偉そうで、みんな感じ悪いって言ってるんですよ。』
芥川『あのさ……どうでもいいって思っているのなら、ここまで催促しに来てくれないんじゃない?』
宍戸『自分のことをキッチリ出来ない奴が、他人のことを言える立場じゃねぇだろ。激ダサだぜ。』
木藤『……あ、あの……お騒がせしてすみませんでした。私が……悪いんです。もう……何も言いません。失礼します。』
彼女は逃げ出した。
?『何だよ……分かってんなら、一々、口煩く……っ!?』
芥川『何様のつもり?』
俺は、そいつの胸ぐらを掴んでいた。