第3章 立海☆真田 弦一郎 編
だが、部活が終わった頃には佐藤の姿だけがなかった。
教室に忘れ物をしたから取りに行ったらしい。
何か、胸騒ぎがする。
俺は、佐藤の教室まで走った。
廊下は……人気を感じないほど、静寂に包まれていた。
しかし、人の気配は感じる。
そして次の瞬間、教室の中から派手な物音がした。
急いで教室に向かうと、教室の片隅に追い詰められている佐藤と……聞いていた格好の男子がいた。
真田『何をしている。』
人間、怒りを越え過ぎると冷静になることを今回初めて体験した。
俺を見て逃げ出そうとする男子を捕まえた。
真田『佐藤。すまないが、心細いだろうが待っていろ。』
脅えた顔のまま、頷く佐藤。
真田『大丈夫だ。お前のことは俺が守る。だから、安心しろ。』
俺は、ジタバタする男子を捕まえたまま職員室を訪ねた。
事情を話し、然るべき反省をさせるようにしてもらうようにした。
再び、何かをするようであれば俺が直々に制裁を……。
急いで、教室に戻ると……俺が現れたことに安堵した佐藤がしがみついてきた。
何だ?この胸の高鳴りは……。
俺は、恐る恐る佐藤の頭を撫でた。安心させるかのように……。
そうか……蓮二や仁王が頭を撫でているのは、こういう理由だからだったのか。
今回は、上手く撃退できたが今後も心配だ。どうすればいい?
真田『……そうか。佐藤、今後も俺に守らせてはくれないか?』
佐藤『えっ……。真田先輩が?』
真田『佐藤が嫌でなければだが……どうだろうか?』
テニスの試合でも、こんな緊張感はない。
一体……。