第3章 立海☆真田 弦一郎 編
今は、昼休み。
賑やかな女子四人組が目の前を歩いている。
が、後ろ姿ながらでも覇気のない一名。
やがて……立ち止まったかと思うと、崩れ落ちるように意識を無くした。
咄嗟に抱き止めると、顔色が真っ青だった。
友人らしき3名が口々に心配する言葉を投げ掛けている。
泣きそうになっているのを見ると、余程心配しているのであろう。
俺は抱き上げると、保険医にことの次第を先に連絡するように指示した。
しかし……女子と言うのは、こんなに儚げで頼りない存在なのか?
頭を揺らさないように、静かに運びながらそんなことを考えていた。
長い睫毛に小さな唇。透けそうな白い肌。その全てが、俺は知り得ないものだ。
その上、軽すぎる。ちゃんと食べるものを食べているのか?
人の注目を浴びながら保健室に到着。
直ぐに保険医が診察をしてくれた。
どうやら、疲労が原因とのこと。
こんなになるまで、一体何をしていたのか。無理をして体調を崩してしまえば、本末転倒にならないか?
後は先生に任せて、教室に戻った。
放課後になり帰り支度をしていると、廊下側のクラスメイトから客人だと知らされた。
廊下に出れば……そこに居たのは、昼休みに運んだ女子だった。
さっきよりは顔色はマシにはなっているものの、少し気だるさを残しているようだ。
それでも、昼休みのことの礼を言いたくて訪ねてきたようだ。
律儀な奴だ。
?『2年A組の佐藤 茜と言います。お昼休みは本当にありがとうございました。』
姿勢正しく、深々と頭を下げる身なりに俺は好感をもてた。
真田『あまり無理をしない方がいい。それと……佐藤は、何か武道をしているのか?』
何気に尋ねたのだったが……最初、目を泳がせていたが、やがて小さな声で【はい】と言った。
何か、不味いことを聞いたのか?