第15章 青学☆手塚 国光 編
俺は、安曇の力になりたいと思っている。
そして……いつも多忙だからと俺を気遣う安曇に好意を寄せていることを。
電話が再び鳴り響いた。
画面を見ると、非通知と……。俺はその電話に出た。
手塚『もしもし。』
?『…男?』
手塚『安曇が迷惑をしている。こういう行動が、安曇を怯えさせていると分からないのか。二度とこういう真似をするな。言い分を聞かなければ、こちらにも考えがある。』
?『お前は…安曇さんの…。』
何かを言いかけて、途中で切れてしまった。
手塚『また、かかってくるようなことや家に来られることがあれば言ってこい。』
安曇『ですが…。』
手塚『安曇の為なら、一肌脱ぐことも厭わない。俺には遠慮をするな。』
安曇『先輩…。…ありがとうございます。』
少し泣きそうになっている安曇を見て、益々、気持ちを強くした。
俺は安曇を……。
手塚『これから遅くなるときは、俺が送ろう。』
安曇は小さく頷いた。
後で不二に聞いたのだが、これが【ギャップ萌え】と言うものらしい。
【ギャップ萌え】か……。
確かに、安曇は美人で人望もある。
しかし、本質はそんなに強いヤツではないことが分かった。
その日、俺は安曇を家まで送り届けた。
安曇『本当に今日は、ご迷惑を…。』
手塚『迷惑ではない。さっきも言ったが、俺の意図は変わらない。何か困ったことがあれば、いつでも相談に来ればいい。』
?『静?おかえりなさい。』
安曇『お、お母さん…。』
安曇(母)『あら…静の机に…。』
安曇は母親の口を塞いだ。こんな慌てた安曇を見るのは初めての出来事だ。
手塚『手塚 国光です。安曇さんとは、同じ生徒会をやらせてもらっています。』
安曇(母)『いつも娘がお世話になっています。良かったら、お茶でも飲んで行って下さいね。』
あ……俺は、安曇の母親に腕を捕まれ、家の中に誘導された。
どうやら、断れる状況ではないようだ。