第15章 青学☆手塚 国光 編
しかし……向かった先は、リビングではなく安曇自身の部屋で……安曇が慌てふためく【意味】が分かった。
そして……安曇の母親が言おうとしていた【意味】も。
それは…生徒会会長に任命された時、不二に撮られた1枚の写真。
俺と安曇のツーショットの写真が、安曇の机の上に飾られていた。
あの時は、不二には記念にと言われた。安曇は、大事にしていてくれたようだ。
安曇は、真っ赤になったまま小さくなっている。
安曇(母)『ゆっくりしていってね。直ぐに、お茶を入れるわ。フフフ。』
何故か、安曇の母親は楽しそうだ。
部屋に二人となり、安曇は消えるような声で詫びの言葉を口にした。
安曇『強引な母ですみません…。』
手塚『気にするな。それより、大事にしていてくれたようだな。』
写真を手にした。
安曇『すみません…。』
手塚『何故、謝る?何も悪いことなどしていないだろう。俺は、嬉しいのだが。』
安曇『えっ?』
手塚『安曇には、いつも助けられている。』
安曇『そ、そんなこと!!わ、私はただ…。』
手塚『ありがとう。安曇が居てくれて、本当に良かったと思っている。』
……何故だ?何故…安曇は泣いて……何か悪いことを言ったのか?
手塚『あ、すまない。何か悪いことを言ったのなら詫びを……。』
安曇『い、いえ……嬉しくて……嬉し…。』
無意識に俺は、安曇を抱き締めていた。
手塚『…これからも、俺の傍に居てくれないか?』
安曇『…いいのですか?』
手塚『あぁ。俺はお前が好きだ。』
安曇『わ、私も先輩が大好きです!ずっと…ずっと前から…。』
手塚『そうか。ありがとう。』
この時……俺には、風紀のことなど頭から消えていた。
きっと自然で必要なことなんだと思った。
俺は、安曇にキスしていた。