第15章 青学☆手塚 国光 編
~才女~の言葉が、ピタリと当てはまる…そんなヤツが、生徒会の書記になった。
その上、融通も利き気もよくつき…ただ、真面目なだけではない。
簡単に言えば、【一を聞いて十を知る】そんなヤツだ。
生徒会長をしている俺にとって、無くてはならない存在へとなったのは言うまでもない。
特に、副会長の同じ三年の男からは熱烈に想いを寄せられているようだが……いつも、軽くあしらわれているのが現状だ。
副会長が不真面目だとは言わないが、どことなく上の空なところがあり…仕事を頼んでも終わらせていない時が多々ある。
しかし、そんな時に決まってアイツがやってくれている。本当に、周りをよく見ている。
部員ならグランド10周などと罰を与えることが出来るのだが、生徒会の仕事でそれをやらせるわけにはいかない。
可能なら、やらせたいのだが…。まぁ、今はアイツがフォローしてくれていて大事になっていないからヨシとしよう。
この日は、生徒会の仕事で机には色々な議事案を寄せられたモノに目を通していた。
全てに目を通すとなれば…そんな時だった。アイツ…書記の安曇 静が現れた。
安曇『お疲れ様です。手塚先輩。』
手塚『あぁ。安曇は何か…。』
返事の前に、俺の目の前に差し出された書類。
内容は、今回の内容を取り纏められたもの。
相変わらず用意周到で、副会長に見習わせたいと切に思わざるを得ない。
安曇『こちらに纏めておきました。』
手塚『あ、あぁ…いつもすまない。』
安曇『いえ、私の役目ですから。他にやりたいこともありますので、ご一緒させてもらってもよろしいですか?』
手塚『構わない。』
少しだけ目を細め、安曇はいつもの場所に座り作業を始めた。
しかし、いつ見てもアイツの仕事には感心させられる。纏められた文書は読みやすく要領も得ている。
安曇は部活をしていないからと、色々と仕事を請け負ってくれるが……。
安曇『どうかされました?』