第14章 青学☆海堂 薫 編
いつもならこれで……ったく、何なんだよ!!
ちっとも清々しないじゃねぇかよ…。
それでも、あいつとは話さなくなって暫くが過ぎた。
いつものように巻村や安曇らと談笑中だ。
でもさ……見てしまったんだ。一瞬だけ、小さく溜め息を吐いているのを。
放課後までの間、俺はずっと気になっていた。
あいつはいつだって能天気なくらい明るくて……相手のことなんかお構い無しに話しまくって…あんな、溜め息なんかつくようなヤツじゃねぇ。
放課後、無意識だった。
気が付いたらあいつの手を引いて、校舎裏へと来ていた。
瀬戸内『…か、海堂…くん?』
あ、嫌…俺は固まっていた。何故かって?
連れ出してきたものの何を言うかなんて考えてもいなかったことに気付いたからだ。
瀬戸内『…あ、あの……ごめん…ね?』
海堂『あ?何で謝るんだ。何も悪いことなんかしてねぇだろうが。』
瀬戸内『だって……。』
あいつの目をみて俺は驚愕した。
目には今にも溢れそうな涙が浮かんでいた。嫌…俺は…何か泣かせるようなことを、した覚えがないんだが?
海堂『だって、何だ?』
瀬戸内『海堂くん……私のこと嫌ってるって。』
海堂『は?そんなこと言った覚えはねぇぞ。』
瀬戸内『Aくんから聞いたの。あの時に誘って…凄く迷惑してたって。』
海堂『そんなわけねぇだろ!!』
俺は、あいつに順を追って説明した。
Aが瀬戸内のことを誘った意味。そして、その事によって俺を誘った瀬戸内の行動に不満を持っていたこと。
Aの嫉妬で言われたことだけは、口にしなかったのだが…。
瀬戸内『…じ、じゃぁ…私のこと…嫌ってるってのは……。』
海堂『デマだ。別に嫌ってねぇ。』
そう言ったのに……あいつの目から、ボロボロと涙が溢れてきた。
泣かせるようなことなんか……言ってねぇはずなんだが?