第2章 「送る。」
そしてもちろん、そんなことに気付いた私が終ホームなんてまともに受けれる訳なく…。
『えーと、あとは、最近学校近辺で不審者が出たらしく…』
先生が言ってることも頭に入らない。
『じゃあ皆暗くなる前に帰るように。終わろっか。』
周りの生徒がガタガタと席を立つので、私も慌てて立った。
☆★☆★☆
現在部活中。私はマネージャーなので、ボールだしやモップがけをしている。
「集合ーっ!」
ボールを片付けていると、道宮先輩が集合をかけた。
「昨日不審者が出たって話は終ホームできいたよね?
それで今週一週間、部活が暗くなる前に帰るって職員会で決まったの。
だから今日はもう練習終わり。
良い?居残り練とかしないこと!
さ、ぱっぱと片付けて集団下校するよ!」
「「「はい!!」」」
皆一斉に散らばる。
不審者かぁ…まぁ、縁のない話ではあるけど。
私はせっせとモップがけをした。
☆★☆★☆
体育館を出ると、いつも遅くまで練習してる野球部さえも片付けていて、学校全体のそわそわした雰囲気が感じ取れる。
「皆、気をつけて帰ってね!」
道宮先輩が心配そうに言う。
大丈夫です道宮先輩!と心の中で言いたいところだけど、私はバレー部に家が同じ方向の人がいない。
まぁ、近いし人通り多いし大丈夫。
そう思ったときだった。
「宮口!」
後ろから名前を呼ばれて振り返る。
息の上がった田中が、急いで着たように見える着崩れた制服を直しながらこちらに来た。
「田中!どうしたの?」
「いや…一緒に帰ろうかなと思って。」
…………ん?
「送る。」
…………あぁ、なんて展開なんだろう。