第2章 兄と妹とその周辺
俺も伊達に晴幸と二人暮らしをしてきたわけではない。
基本的な家事は普通にできる。
朝食や夕食も作ったし、お弁当もたまにサボったが作っていた。
たまにの買い弁はいいが、さすがに毎日だと身体に悪いし、栄養が片寄る。
それにお金もかかる。
再婚してからは、えりが毎日してくれていたし、二人暮らしになってからは莉緒がやってくれている。
完璧に自分でやる習慣は抜けてしまった。
だからなのか、正直…
「めんどくさいからな。あと、おまえの方が料理上手いし」
「ごちそうさま」と小さく言って、立ち上がった。
食べ終わった皿とマグカップを持ち、流し場へ向かう。
「ま、とりあえずいつもありがとな」
途中でわしゃわしゃと莉緒の頭を撫でておいた。
「わっ!ちょっと!!ご飯食べてる時にやめてよ!!しかも急に改まって何?…照れるんだけど…」
最後の方は口ごもっていて聞こえなかった。
「髪ぐしゃぐしゃだし」
文句を言いながらも手櫛で髪を直す。
髪の間から覗く耳は、少し赤くなっている気がした。
「皿、水に浸けとくぞ」
一声かけて、洗面所へ行った。
数分こもり、歯磨きなどもろもろ済ませて洗面所を出る。