第4章 海常バスケ部お泊り会〜夕食準備〜
俺が一人悶々と思考を巡らせていると、何も言わないのを不思議に思ったのか、莉緒が下から覗き込んできた。
「どうしたの?幸男」
ちなみにこの状態だと、自然と上目遣いになる。
…胸になんかズカンってきた。
なんだよこれ!なんだよこれ!!
「なんか、顔赤いけど大丈夫?」
俺が反応しないので、莉緒は再度尋ねてくる。
頭を撫でていた手を止め、深呼吸をひとつする。
…よし、とりあえず落ち着いた。
「大丈夫だ。ホラーなんか借りてきて悪かったな。時間遅くなっちまうし、さっさと作ろう」
そう言って立ち上がれば、莉緒もひとつ遅れてそれに続く。
大丈夫そうな姿を確認した他のメンバーも、次々に謝罪の言葉を口にする。
…よくよく考えたら、ずっと前からこんなことはあった。
もしかしたら…、もしかするのかもしれない。
けど、きっとこいつはそんなこと思ってもいないのだろう。
それに、俺たちの今の関係を考えたら、これはあってはならない感情かもしれない。
確信がない以上、これは様子見するしかない。
そんなことを思い、俺は隠れてため息をついた。