第2章 兄と妹とその周辺
「そうだな。これだけが気掛かりだったんだ!!せっかくのマイホームを無駄にしなくてよかった」
「そこかよ!!ちょっとは俺たちのことも気にしろよ!!」
「なんか、私たちの知らない間に、いろいろ話が進んでたんだね」
諦め口調で莉緒が言う。
その目は、目の前の両親すら視界に入れず、遠い目をしていた。
「じゃあ、莉緒と家を頼んだぞ幸男」
晴幸は真面目な顔で、ポンと俺の肩を叩いた。
もうこいつら…、フランス行ってマジで帰ってくんな。
心置きなくイチャイチャしてろ。
俺が心の中でそう吐き捨ててたことは知るよしもなく、勝手な両親は一週間後、フランスに旅立った。
という事があり、席が二つ空いていることに繋がるわけだ。
莉緒は、俺が部活に打ち込めるようにと家事は全て引き受けてくれた。
今では全てが板についている。
元々部活には入っていなかったので、辞めずにすんだが、かなり負担になっているのはたしかだ。
「別に毎回俺の朝練に合わせなくてもいいんだぞ?」
「またそれ?気にしなくていいって。今じゃ遅く起きれないくらいだし、これぐらいに起きないと学校行くまでに朝ご飯の片付けとか洗濯終わらないし」
「それに幸男はまともな朝ご飯食べないで、お弁当も作って行かないだろうしね」と、肩をかるく上げて言った。
「まぁ、そうだろうな」
「幸男できるくせにやらないもんね〜」
莉緒がぼやくように言う。