第4章 海常バスケ部お泊り会〜夕食準備〜
「オカ(ル)ト好きなかむ(ら)のオススメな(ら)期待でき(る)んじゃないっスか!?」
「あー、これホラーだっけ?」
と、小堀が言ったのと同時に最初の掴みの部分がくる。
こういうのが大丈夫な俺でも、これには肩をビクッとさせて驚いた。
早川や黄瀬は声まであげている。
それに混じって、キッチンからも悲鳴があがった。
そうだった。
そういえばあいつ---。
「待って待って待って!!ホラーなんて聞いてないんですけど!!今すぐ止めるか消して、私がいない時見て!!」
苦手だったな。
「ムリムリムリムリムリ本当にムリ!!お願いだからどうにかして!!あー、音でもムリだから早く!!」
声のしたキッチンを振り返れば、そこに莉緒の姿はない。
「えっと〜笠松先輩。莉緒っち、どうしたんスか?」
DVDも忘れ、呆然とキッチンを見ながら黄瀬が尋ねてくる。
「あいつ、ホラー映画っていうか、まぁそういう系全般苦手なんだよ」
「意外っすね…。なんか怖いものなしって感じするっスけど」
「おまえはあいつを超人かなんかだと思ってんのか」
呆れたように言って、俺は足をキッチンに向ける。
「とりあえず森山、それ止めてくれ。黄瀬、悪いが観るのは夜に持ち越しな」
「はいよ〜」
「いいっスよ、別に。それに、このままつけてると夕飯にありつけそうもないんで」
黄瀬は苦笑して言った。
俺がキッチンに入れば、耳を塞いで目をぎゅっと瞑った莉緒の床にしゃがみこむ姿が目に入った。
「莉緒」
優しく名前を呼んでから莉緒の前に俺もしゃがむ。
気配で気付いたのか、莉緒はゆっくり顔を上げ、そろりと目を開ける。