第2章 兄と妹とその周辺
その疲労が一日で抜けるわけでもなく、かと言って次の日がオフになるわけでもない。
次勝ちたければ練習するしかないのだ。
全ての準備を終え、ブレザー、ネクタイ、エナメルバッグ持って降りる。
リビングに入ると、トーストなどのいい香りが漂ってきた。
ダイニングキッチンのカウンター付きになっているので、莉緒の姿はここからでも確認できる。
「今日カフェオレでいい?」
テーブルに並べられた朝食の前に座った俺に、莉緒が尋ねる。
今日の献立を確認した俺は、「ああ」と短く返事をし、一足早く食べ始めた。
しばらくして、莉緒が右側に青いマグカップを置いて、向かいの席に座った。
カップからは湯気がたっている。
冷める前に、一口飲んだ。
俺と莉緒が座っても、席はあと二つ空いている。
両親の席だ。
何故空いているかと言うと、それは半年前にさかのぼる。