第3章 海常バスケ部お泊り会〜買い物〜
「そんなに急がなくても大丈夫だったのに…」
小堀が苦笑混じりに言う。
「もー、莉緒っち遅いから心配したんスよ!?」
「俺、心配で迎えに行こうかと…」
「ごめん。連絡入れればよかったね。10分くらいならいいかなと思っちゃって」
とりあえず心配してくれた黄瀬には謝り、下らないことを言う森山はスルーした。
「莉緒、なんかあったのか?」
私に視線を合わせた早川は、顔を覗き込むようにして尋ねた。
こうして見ると、早川の顔はどこか幼さがあって可愛らしく思える。
「ちょっと委員会長引いちゃって。くじ引きで当たったから断れなくてさ」
「そ(れ)じゃ仕方ないか」
「次遅れる時は連絡しろよ?」
たまにみせる幸男の過保護に「うん」と、軽く返事をしておいた。
「それじゃ、夕飯の買い出し行きましょう。何がいいですか?」
いつも通っている比較的安いスーパーに歩みを進め、後ろにいる本日のお客様を振り返りながら尋ねた。
食べ盛りの男子高校生スポーツマンには、お肉と量は重要だ。
なるべくリクエストされたものにお肉を使い、いつもより3倍くらい多く作らなければならない。