第3章 海常バスケ部お泊り会〜買い物〜
side 莉緒
日が傾き、空は鮮やかなオレンジから深い青へと変化し始めている。
私は自宅の最寄り駅で、幸男と待ち合わせをしていた。
普段なら待ち合わせなどはしないし、そもそも学校が終わってすぐに会うことはない。
だが今日は少々特別なので、一緒に帰って夕飯の買い物をすることにした。
あるお客様たちも連れて…。
ホームに着いた電車から、一番に降りて走り出す。
電光掲示板の横にある時計を確認すると、時刻は5時40分を示していた。
待ち合わせ時間からは10分遅刻である。
階段を駆け上がり、改札口へと急ぐ。
待ち合わせ場所はすぐそこだ。
するとそこには、男子高校生5人が話しながら辺りをキョロキョロと見回している。
身長のせいもあり、かなり目立つ。
中でも、一際明るい髪をした黄瀬は格別だった。
「あ!莉緒っちー!!」
一番最初にこちらに気付いた黄瀬が、大きな声を上げて手を振ってくる。
その姿は、飼い主を見つけて尻尾を振る子犬にも見えた。
改札口を通り抜け、5人の元へ駆け寄る。
「すみません…、お待たせしました」
走ってきたため、かなり息が上がっている。