第2章 兄と妹とその周辺
「何だよ」
「これを見ろ」
ほか他の三人に見えないように、黄瀬と同様携帯電話の液晶画面を見せてくる。
視線を森山の顔から画面に移すと、そこに映し出されていたのは驚きのものだった。
「おまえ何でこんなもん持ってんだ!!ストーカーか!?」
すると、森山はおどけたように言う。
「まさか。とある情報通にもらったんだよ、莉緒ちゃんの授業居眠りショット」
机にノートと教科書を開いて、その上に突っ伏している。
その寝顔はあまりにも無防備で…、見た途端に胸が高鳴り、体温が一気に上昇した。
自分でも顔が赤くなっているのがわかる。
「いや〜、愛らしくてほんと可愛いね。天使だと思うぞ、うん」
森山はそんなことを言って、画面を見つめて一人頷く。
「…と、とある情報通って誰だ!?つーか今すぐ消せ!!」
俺は声を荒らげる。
「情報通は教えられないけど、参加すれば画像は消してやる。さぁ、どうする?」
森山は小さく肩をすくめて言う。
こいつ…、いつからこんな質悪くなった。
元々悪かったが、さらに磨きがかかった気がする。
「いいのか〜?俺がこのまま持ってても。黄瀬とか早川に見られるかもしれないぞ?」
目の前で携帯電話を左右に振り、森山は俺を煽る。