第2章 兄と妹とその周辺
side 莉緒
教室での昼休みは人数が多いため、ざわざわと騒がしい。
だからと言って、他の場所を探すのもめんどうなので、私と親友の原田 望は机を一つ挟んで昼食を摂っていた。
「あんたも毎日頑張るわね〜。たまには購買でパンとか買えばいいじゃない」
望が購買で買ったパンをかじりながら、私の弁当をみる。
「全部手作りなんでしょ?」
「そうだよ。前日の夕食の残りがほとんどだけど。冷凍食品は、本当に困らないと使わないし」
「朝っぱらから頑張ってるわね〜。お兄さんの幸男さんの分も作ってるんでしょ?」
「うん」
「そこらの主婦より完璧ね。そうそういないわよ、毎日朝からお弁当作れる人。しかも幸男さんの朝練に合わせてやってるなんて」
「もう半年経つから。慣れだよ、慣れ」
「私なら一週間ももたないわ〜」と、望は遠い目をした。
たしかに最初は辛かったが、えりが再婚する前とあまり変わらない生活だ。
えりが外で仕事していた分、家事は莉緒がやっていたので、元々一通りできた。
なので、私にとっては前の生活に戻るだけで、一週間その生活をすれば慣れるわけだ。
今ではそれが普通になり、大した苦もない。