第2章 兄と妹とその周辺
「おまえまでそれを言うか!?」
「まぁ、近親相姦は無くとも、莉緒ちゃんだったら、笠松が惚れてもおかしくないよな」
「小堀!!」
「え!?キャプテン、莉緒のこと好きなんスか!?」
「違う!!」
次々に発せられる言葉に、笠松先輩はテンポ良く怒鳴っていく。
「ていうか、も(り)やま先輩。きんしんそうかんってなんスか!?」
「え!?早川先輩、近親相姦知らないんスか!?」
真剣に聞く早川先輩に、俺は驚きの声をあげる。
今時の男子高校生、それくらいは知っていて当然だと思っていた。
ませてる中学生、下手したら小学生でも知っているような時代だ。
ここまで純粋な人も珍しい。
「仕方ないな。そんな早川のために、俺が1から説明してやる。近親相姦っていうのはだな…」
森山先輩が早川先輩の肩を組み、耳元で説明しようとする。
早川先輩は真剣にうんうんと頷いていた。
「説明せんでいい!!つーか小堀!!おまえも少しは協力しろ!!」
一人ずつ頭を叩いて怒鳴った笠松先輩は、「さっさと着替えて鍵閉めるぞ!!」と、無理矢理この話を終わらせて部室に急いだ。
そういう反応するから怪しまれるって、何で気付かないんスかね〜。
苦笑を浮かべ、俺は森山先輩たちと共に部室へ急いだ。