第2章 別れとはじまり
マンションを出ると見覚えがある車があった。
「臣…。」
臣の車だった。
運転席に乗っている臣が私に気が付くと車から飛び出してきた。
「名無し !おまえここで何してんだよ…。」
「臣こそなんでここにいるわけ?私は話すこと何もない。」
「今回の事は俺が悪かった。ごめんな。でも、あの報道もただ二人でメシ食っただけだし。」
「朝、見たよ。散歩してたの。ネックレスもあの人にあげたの?」
「…。はーーー。ごめん。俺、そういうの無理だ。別れよ。」
「え…。。」
「ネックレスはちげーよ。。。こそこそ詮索されるの無理。監視されてるみたいで。聞けばいいじゃん。」
「…。聞ける雰囲気じゃなかったもん。」
「…めんどくせぇ。」
これが臣の本性なのだ。本当は知っていた。冷たいところがあるって。それでも私は好きだった。彼の嫌な部分も含めて。
「本当に最低な人。私ももう無理。あの人と幸せになってね。」
「え…。」驚いた顔の臣。
私はいままでこういったケンカをしているときいつも引いてきたからびっくりしたんだと思う。
今回は浮気だ。こんな時ですらこんな事をいう彼の事はさすがにもう受け止めきれない。
「どうせ、今までつきあってやってると思ってたんでしょう?そもそも、平凡なOLの私とつきあってるのもおかしいし。私も芸能人の臣と付き合えるからって、いろんな事を我慢してた。私が好きだったのは素顔のあなたじゃなくて芸能人の臣だったの。だから、私ももう無理。さようなら。」
我慢していた感情が涙とともに溢れた。
言い切ったあと、臣を真っ直ぐ見た。
「…。」
臣が辛そうな表情をしていた。こんな表情、今まで見たことない。今にも泣きそうだった。
「おまえは違うと思ってた。」うつむいてつぶやく。
「と、とにかくさようなら。」私はマンションの中に逃げかえった。
がんちゃんの部屋にまだ戻ってしばらくベットで横になった。
いつの間にか寝てしまったみたいで目が覚めると丁度がんちゃんが帰ってきた。
「おわ!きれいになってる。」
「ごめん…。寝ちゃった…。いろいろあって。」
「…。メシ食いに行くか?」
「ううん。。。」
「じゃー、出前頼むか!」がんちゃんがピザを頼んだ。