第1章 浮気の予感
他愛もない会話から始まったけど、なぜか盛り上がって家のマンション前で車を止めたまま30分ほどしゃべっていた。
「あ、ごめん。つい話こんじゃって。もう行きますね。」
「…。あの、ライン交換しません?」
「え…。」
「あー。その無理にとは言わないけど、教えてもらえたら嬉しいていうか…。」人気者の彼が私の連絡先を聞いている。夢なのかな。二つ返事でラインを交換した。
私がマンションに入るのを見て彼は車を発進させた。
そこから時々、3人で散歩をするようになり。私たちの関係はすぐに縮まった。付き合いだしたのは出会って1か月したあたりだ。
昔の事を思い出していると胸が熱くなった。
「はーーあ。」大きなため息が出る。
「ワンワン!」
聞きなれたソウルの鳴き声だ。
声がする方へ目をやると臣とソウルがいた。
しかもその隣には例のモデル。
なにやら楽しそうだった。
血の気が一気に引いた。
わかっていたけど、勘違いであってほしかった。
まさに、私は浮気現場を目の当たりにしていた。
とっさに木の陰に隠れて、見つからないようにその場を後にした。
心臓がバクバクいってどうしようもない。
とりあえず、自宅へ帰った。
さっきの光景を鮮明に思い出してしまう。
そんな時、スマホがなった。
見るとがんちゃんからだった。
とても電話に出る気になれなくてそのままにした。
しばらくするとラインがきた。
『おはよ。今日はテレビみんなよ。絶対に。』
「え…?どういうこと?」テレビを着けようとしたらまたがんちゃんから着信が…。
「はい。どうしたの…急に。」
「いま、テレビ着けようとしたでしょ?」
「え…。なんでわかるの…。」
「ダメ。観んなよ。てか、今から会えない?」
「え?なんで。」
「なんでって、なんでもーー。」
結局、がんちゃんのおねだりに負けてしまった。
がんちゃんとはいつもこんな感じだ。
もちろん、臣も私たちの関係は公認していた。