第1章 浮気の予感
お風呂へ入ってる間に臣の上着を片付ける。
ありがちだけど、最近彼の様子がおかしい。
やたらと打ち合わせでドタキャンをする様になった。
今度、女性ファッション雑誌の表紙を飾ることになった彼。
新しい企画でモデルさんと恋人同士として色んなブランドの服を着て撮影をする。その企画はドラマにも連動していて、ラブストーリーのドラマを撮る予定だ。要はその人と打ち合わせをしているんだと思う。
仕事だからって私は自分に言い聞かす。
それが日課になってきた。
彼の上着のポケットから何か落ちた。
拾ってみると、有名ブランドのレシートだった。
A型の彼が珍しい。こんな所にレシートを入れるなんて。慌ててたのかな?レシートはポケットへ入れ直しておいた。
。。。でも、ネックレスって何でだろ?
「あ、もしかしてクリスマスプレゼント!」
なんて想像して嬉しくなった。
お風呂から出てきた彼がニヤニヤしている私を見て首を傾げながら近づいてきた。
私は慌ててご飯の用意をし始める。
台所へ立つ私をみながら彼がいう。
「やっぱ、お前って結婚したい女だよね。」
「え?なにそれ笑。プロポーズ?んー、逆にいえば恋人むきじゃない?」ちょっとした意地悪だった。
「え。。」図星とばかりに、言葉をつまらせた臣。
「冗談だよ。。」私はそう言うと支度の続きをした。
そのあとは何となく気まずい空気が流れて二人ともいつの間にか寝てしまった。
朝起きると既に服を着替えている彼。
「早いんだね。。」
「おう。ちょっと自分家寄ってから行きたくて。また連絡するな。」
顔も合わせないで出て行ってしまった。
「ふー。」
昨日のネックレス、もしかして私のじゃないのかも。
胸がざわつく。
1人でいると嫌なことしか浮かばないから外に出る用意をした。
といっても行くあてもないからいつも行く公園に向かった。ここは臣との思い出の場所。
こんな寒い日、夜のお散歩をしていた臣に出会った。
その日は友人の結婚式の帰り途中だった。
タクシーがなかなかつかまらなかった私は夜の道を一人歩いていた。
公園沿いの道を歩いている時、いきなり茂みから走ってきたチワワが飛びついてきた。
「きゃ!なに??あれ、どーしたの?リード外れたのかな。。」
尻尾をフリフリするソウルを抱きかかえ、頭をなでる。