第9章 一番
3学期も山本くんと、毎朝一緒に登校して、お昼は一緒にお弁当を食べる。
「来年も一緒のクラスになれたらいいけど…。さやかちゃん、もしクラスが違っても弁当一緒に食べてくれる?」
山本くんが私に聞く。
「うん、いいよ。逆に違うクラスだったらお昼ぐらい一緒にいたいよね」
「だよね。よかった」
私の返事に山本くんが嬉しそうに頷く。そしてコソコソ内緒話するように話す。
「さやかちゃんがもし1年のままでも、俺1年の教室に遊びに行ってあげるからね」
「もう! わたしちゃんと2年になるもん」
……
3学期って短い。
あっという間にテスト一週間前。
「テスト前とテスト中は、朝も帰りもさやかちゃんと一緒だから嬉しい」
山本くんがニコニコして言う。
「うふふ…わたしも嬉しい。えへへ」
ニヤニヤしないように気をつけながら、私もニコニコする。
「じゃあ、また明日ね。勉強頑張ろうね」
駅で手を振って別れる。
……
電車に乗ったら男バスの斉藤くんも乗ってきた。
「お疲れ」
私は声をかける。
「お疲れ…座っていい?」
「いいよ」
斉藤くんが横に座る。
「須藤…山本と帰ってたね」
「うん。部活ないから」
私はにやけないように気をつけて答える。
「いいなぁ」
「斉藤くん前から結構そんなこと言ってるけど、もしかして彼女欲しいの?」
「そりゃ欲しいよ」
私の質問に斉藤くんが即答する。
「斉藤くんなら適当に何人かに告ったら、誰かOKすると思うよ」
「そんなこと…」
斉藤くんはちょっと顔を赤くして黙る。
私かなり具体的で実のあるアドバイス出来たと思うんだけど。