第19章 冬、そして春
今日は卒業式。
私は在校生として、女子バスの副キャプテンとして出席している。
祐樹が送辞を読んでいる。
在校生代表。
生徒会長だから。
来年は私たちがこんなふうに送られるんだね。
来年は祐樹はきっと東京に行く。
先輩たちの中にも東京に…もしかしたらもっと遠くに行く人もいるかも。
離ればなれになっちゃうカップルもいるかも…。
でも、こんなふうに送ってもらえるんだね。
…
「そんなに泣いて…。来年、自分の卒業式はどうなっちゃうの? さやかちゃん」
帰り道、涙がまだじわじわ出てくる私を祐樹が茶化す。
私は反論する。
「体育会系女子には体育会系女子の事情があるの!
でも…先輩たちは意外と泣いてなかったな。どっちかというと、ニコニコしてた」
「そうなんだ。かっこいいね」
「うんっ」
祐樹が優しく微笑む。
私もにっこり笑って同意する。
「来年は卒業か」
祐樹がめずらしくしみじみ言う。
「うん…。1年間楽しもっ」
私は半分本当、半分空元気で言う。
「うん。その先も」
私たちは手を繋いで、少し笑った。
…
fin