第9章 一番
夜、宿題しながらウトウトしてると山本くんから電話がかかってきた。
『さやかちゃん、何してた?』
「んー…宿題」
『寝ながら?』
「寝てないよぉ」
『声が寝てるよ』
「へへ…ばれた?」
『…さやかちゃん、今日励ましてくれて…ありがとうね』
「んー…? うん」
『俺…勉強しか取り柄ないのに…。一番になるって言ったのに…情けないよ』
「そんなことないよ。山本くん…かっこいいよ。山本くんはずっとわたしの一番だよ」
『……ぷっ』
「えっ? ウケ狙ってないよ?」
『ふふ…さやかちゃんの…一番…はは…あはは』
「ちょっとー」
『超うれしい。ありがとう』
「うん。ふふ」
『冬休み…勉強しないとね』
「うん。わたしも部活とか、男バスの手伝いもあるし」
『男バスの手伝い?』
「うん。練習試合の手伝いしに行く。男バス人数少ないし。3年引退して1年も試合出るから雑用係が足りなくて」
『あぁ、そうなんだぁ。いいなぁ、男バス。うらやましい…うらめしい…』
「別にそんなたいしたことしないよ」
『そっか…。でもさやかちゃんも忙しいね。無理しないようにね』
「うん。山本くんも」
『うん、おやすみ。宿題…わからなかったら明日の朝、写させてあげるよ』
「ありがと! おやすみ」