第9章 一番
期末テストが終わって今日は成績発表の日。
廊下に貼り出された成績を山本くんと見る。一緒に登校してきたから。
上の方を見る。
1 …… ……
2 山本 祐樹
……2位だ。
それでも充分すごいけど…。
私は山本くんの顔を横目で見上げてみる。
案外、普通の顔で成績表を見てる。
「あ、俺、朝トイレ行くの忘れてたから行ってくる。先、教室行ってて」
彼が普通に言う。
「うん、わかった」
私は返事する。
「……失望させてごめん」
「え…?」
彼は私の返事を聞かず廊下を歩いて行った。
……
「見て! 65点。前から5点上がった!」
放課後、帰る支度をしてる山本くんに私の数学の答案用紙を見せる。
山本くんはそれを見てニッコリ笑う。
「すごい。次は70点だね」
「ふふ」
「さやかちゃん、今日からまた部活だよね。頑張ってね」
「うん。頑張る。…あのね、山本くん…」
私は迷ったけど、伝えたいことを言うことにする。
「ん?」
彼が私の顔を見て優しく微笑んでくれる。
「失望とか…しないよ? するわけないじゃん。2位でもすごいし…山本くんがすごい頑張ってるのわたし知ってる」
「…うん。ありがとう! じゃあ、また明日ね」
そう言って彼はニッコリ笑って手を振って帰って行った。
余計なことだったかなぁ。
成績が一番とか二番とか…私には気持ちわかるわけないし…でも…。