第6章 しあわせ
部活に再入部して、初日は緊張したけど、練習中は走ったり球拾いで私語はしないし、着替え中もクラス同じ子の近くにいたから別に気にならなかった。
別にまだ一年だからレギュラー争いとかも関係ないし、例えあったとしても私にはあまり関係ないかな。
ていうか私って勉強もスポーツも中途半端…っていうか勉強は全然出来ないほうか…。
「ねぇねぇ、さやか。テスト前に一緒に帰ってたのって彼氏?」
帰りの着替え中に、よそのクラスの子に聞かれる。
「うん。そうだよ」
私は答える。別の子が会話に入ってくる。
「さやかの彼氏って、あの学年トップの山本くんて聞いたんだけどマジ?」
「そうだよ」
そうだよ。あの山本くんだよ。ふふ…。
「えーすごい! あれが山本くんなんだ。初めて見た」
めずらしい生き物? まあ、違うクラスの男子なんてそんなもんだよね。
「さやか大丈夫? 山本くんとしゃべれるの? 知的レベル違いすぎでしょ」
「えーひどい! しゃべれるもん!」
山本くんネタのおかげで、なんとなくみんなとワイワイできるようになった気がする。