第18章 リア充
「さすがにもうそろそろ帰るだろ? 送ってこうか?」
祐樹が言ってくれる。
「ううん。斉藤くんが駅まで送ってくれるって。駅にはお母さん来てくれるし」
「ふーん。斉藤か」
「あっ…。嫌だったらやめとくけど…」
「ううん、別に。斉藤に送ってもらいな。俺も忙しいしね」
祐樹が嫌味でもなんでもない感じで言う。
大人だなぁ。
「最後にもう一回」
祐樹が私の手を引いて、近くの階段を登る。
踊り場で立ち止まる。
「ここなら申し分ないだろ?」
…キスの場所?
祐樹が壁に手をつく。
…これは…壁ドン?
私は笑わないように気をつけて、彼の顔を見上げる。
ちょっ、祐樹も半笑い…。
でもとりあえずキスする。
唇が離される…。
「ぷっ」
私は思わず吹き出す。
「えっ笑うとこじゃないし」
祐樹が半笑いで言う。
「いや、祐樹も笑ってるし。あははっ」
「あはは…」
そろそろ教室に戻らないとクラスの人に心配されるかもだけど…
楽しい。