第18章 リア充
文化祭当日。
祐樹は相変わらず忙しいし、私も劇に出るから忙しい。
でも、合間に祐樹と一緒に学校をまわる。
「来年は3年かぁ。ずっと2年だったらいいのに」
私はつぶやく。
「えっ留年的な意味で? さやかちゃんが言うと冗談に聞こえないよ?」
祐樹が茶化して言う。
「違うっ、全然違う〜。来年は受験だなって言いたかったの」
「3年なっても楽しいよ。3年の人らもみんな楽しそうにしてる」
祐樹がにっこり笑う。
さすが生徒会だなー。
ずっと高校生だったらいいのにな。
今度はそう思う。
祐樹に言ったら、また適当になだめられるかな。
祐樹はいい子ちゃんだからー。
彼が私の顔を見て話し出す。
「高校生って楽しいなぁ」
「えっ?」
祐樹もそう思ってたんだね。
「俺、ずっと前から東京の大学に行くのが目標だったから、高校なんてただの通過点だと思ってた。
でも、意外と熱くなることが多い。
テストの順位とか、生徒会とか…。
さやかちゃんとか」
彼がにっこり笑う。
…
ジュースを買ってのんびりする。
「高校生のうちに他に何かやっておくべきことあるかな?」
私は彼に聞いてみる。
「さやかちゃんは今まで通り部活と勉強頑張りな。それで充分だよ」
本当ムカつくぐらいいい子ちゃん。
ま、それが祐樹のいいとこかな。
私はニヤニヤしないように気をつける。
「俺はね…ダブルデートしてみたい。さやかちゃん誰か友達のカップル連れてきて!」
彼がニヤニヤを隠さず言う。
「は? わたしには部活と勉強って言って、自分はデート? でもなんでダブルデート?」
「なんか高校生って感じで憧れる…。遊園地か…お弁当持ってピクニックとかがいいかな。どう思う?」
「いいね。わたしの友達でカップルって言うと、2人ともバスケ部だけどいい?」
「う…俺だけアウェイか。まあいいや。さやかちゃんいるなら」
「そりゃいるよ。デートだもん」
「はは。そっか」
私たちは笑う。
文化祭が終わったら、また期末テスト。
でも、祐樹がいるから私は頑張れる。