第18章 リア充
文化祭一週間前。
準備のために運動部の練習はお休み。
うちのクラスは劇を出す。
私は役者として出るので、その練習と小道具、衣装その他準備のお手伝い。
クラスのみんなで放課後残って準備する。
今日はだいぶ遅くなったなぁ。
外は真っ暗…と思うと、学校のトイレが急に怖くなる。
あまり考えないようにして、手を洗ってサッサと出よう。
鏡ごしに後ろ見ちゃダメ!
ふーやれやれ。
トイレから出て教室に戻ろうとすると、まだ残ってる生徒たちの話し声が聞こえて安心する。
…!
「うっわぁ…! びっくりした。祐樹」
廊下に祐樹が立ってた。
「連れションしろよ。こんな夜遅くに女が一人でトイレに行くなんて…。危ないだろ?
教室の前、通ったの見えたからついてきた」
彼がちょっと呆れ気味に話す。
「え…そうかな? 今日はクラスの用事で残ってたんだね、祐樹。わざわざありがとう」
「まあ、俺も用事あったし」
「用事? 何?」
「えっとね…」
彼は少し周りをキョロキョロと確認する。
そして私の腰を軽く抱いて、身体を引き寄せる。
「え…?」
私は彼の顔を少し見上げる。
「キスするね…」
そう言って彼は、返事も聞かず、私の唇にキスした。
……。
すぐ唇も身体も離される。
「一度やってみたかったんだ。学校でキス」
照れくさいのか、ちょっとヘラヘラしながら彼が言う。
「わかるけど…何もトイレの前で…」
私も照れくさいので、ちょっと文句を言う。
「こういうのはチャンスがあるときにサッとやっておかないと!」
彼が言い訳?する。